「社長が何を言っても聞き流せばいい」「ウチは大企業だから大丈夫」　飼い犬社員撲滅運動の2年目｜Atlasマンツーマン英会話

早いもので私が語学教育産業の審判役のお役目を務めるようになってから10年の月日が経ちました。相対する企業や人の精神に何があるのかを的確に見抜き、それを受けて進むべき方向へお手伝いするのがその役割になっています。私は日本に存在する英会話スクール、特に経営者ご本人を対象にこの審判役を務めているのです。

そのような立場から、たくさんの非公式情報が手に入るのです。2016年2月から日銀が始めた名目金利の引き下げというマイナス金利政策によって中央銀行が金利を引き下げる一方、市場では期待インフレ率が上昇しています。まずは、金、原油とここから順次、その価格が高騰し始め、やがて英会話スクールでも入学金やレッスン価格が値上げし、インフレの本格展開になっています。

名目金利からインフレ率を差し引いた実質金利がマイナス化し始めたといわけです。こうなると、大手スクールばかりでなく、中小の英会話スクールも「カネを借りていないのは損」と叫ばれるようになり、資産バブルが史上空前の規模でスパークしようとしているのです。

ところがそうした中で、太陽活動の異変による北半球における寒冷化の進展は、風邪の流行やインフルエンザなどにより、人体の免疫力を30%以上も下げ、日本の経済全体を不活性化・縮小化させていっているのです。インフレと資産バブルは急ピッチで進んでいますが、モノはなぜか売れないのが2017年年初からの特徴なのです。

そうした中、大手英会話スクールを中心にたいていのスクールでは、まったく入学者が増えていないことが本当にわかってきました。この悲劇的な展開の可能性を日増しに感じ取るスクール経営者たちは、次々に打ち手を社内に示しています。

しかし悲しいかな、スクール経営者たちの指示は現場まで全く届きません。創業経営者の場合、そのセンスがあまりにも卓越し過ぎているため、そもそも単なるフォロワーである社員たちは、その指示についていくのがやっとというのが現実なのです。そのため、まだ現実になってはいない悲劇的な展開の可能性を前提にした打ち手のアイデアなどを示されても、社員らは全く対応できないのです。

例えば、ここでスクール経営者が親からやM&Aなどでの事業承継者の場合、状況はもっとひどいものとなります。なぜなら、先代の創業経営者ほどのカリスマを持ち合わせていない事業承継者は、社員が本当のところ何を考えているのかを全く理解できていないからです。

経営者たちは、表面的にはもっともらしいことを言いますが、社員たちの魂を揺さぶることができません。そのため、売り上げは現下の局面から着実に下がり始め、やがてスクールの閉鎖が起こり、倒産することになります。現に私は2002年からそうした企業現場をいくつも見てきました。

ちなみに大手英会話スクール6校を見ると、状況は悲惨の一言に尽きます。そもそもすでに始まっている悲劇への序曲を、聴きとることのできる能力をもった経営者・幹部社員・社員がいる大企業はほぼ皆無と言っていいでしょう。

それどころか「明日は今日と同じ日になる、明後日も明日と同じ日になるはず」と信じ込み、相も変わらぬ社内ゲームを繰り広げています。そしてその中で忍耐力と偶然だけを頼りに、経営リーダーを選んでいるのが現状なのです。話そうと思っても話が通じないのは当然のことなのです。

英会話スクールの現場のそうした実態を審判役として見続ける中、今こそ、私たち日本人は全員飼い犬のような生き方をやめ、ゼロから心を入れ替えてやり直すべきだと思うのです。戦後の廃虚の中で日本の経済が立ち直る時、その中で成功を収めたのは、まさにそうした経営者たちであり、それを支えたのは飼い犬社員ではありませんでした。

今の日本人ビジネスパーソンのほとんどが言うパターンとは、「社長が何を言っても聞き流せばいい」「ウチは大企業だから大丈夫」などというものしかないのが現実なのです。

悲劇への序曲が始まった2016年は、日本のビジネスパーソン全員にとって「飼い犬撲滅運動元年」でしたが、2017年になってもその態度や言動からは進展が見られない中で、そのことに気付いた者だけに、未来の光は差し始めているのです。