先日、外資系の証券会社の支店長であるアメリカ人と大ゲンカをしました。結局はケンカ別れとなり、もう二度と会うこともないと彼は言っていました。
私が何に腹を立てたのかというと、そのアメリカ人が一切、「Thank you」と言わなかったからです。その側近の日本人たちも同じ考えなのか、一切「ありがとうございました」と言わなかったのです。相手は確かにアメリカの一流大学を卒業したエリートではありますが、それは日本の大学ではありません。
「何かをしてもらったり、助けてもらったなら口に出してお礼を言う」という、こんな当たり前のことができないのであれば、アメリカのエリートもへったくれもないように思います。
特に、アメリカ東海岸の一流大学を卒業したエリートに代表されるやり方は、まず、相手に提案をさせ、一緒に考えようと言葉巧みに誘導することから始めるのが特徴です。日本人はそれを聞いて嬉しくなり、ついついいろいろと提案します。日本国内では彼はガイジンということで、「言葉の違いもあって大変だろう。助けてやるのが義理人情」とサービスするわけです。
ところがガイジン側からは、一切感謝の表明がないことに気づかされます。それどころか「お願いします(プリーズ)」の一言もない場合があります。これはイギリス系アメリカ白人に多い傾向がありますが、むやみやたらとお願いしたり、礼を言わないようにとの教育を受けているのです。
国民性として忍耐力に長けている私たち日本人は、こちらから言うのも大人気ないし、我慢しようと考え、最後まで笑顔で尽くし続けてしまうのです。そして欧米からガイジンが来日すれば、日本人は至れり尽くせりの世話をし、客人はそれなりに楽しくスケジュールをこなし、ビジネスも進むというわけです。
ところが、そのガイジンは一切お礼をこちらに対して口にすることなく、最後は空港で手を振りながら去って行くのです。さすがに堪忍袋の緒が切れた私はその場で彼に英語であらゆる語彙を使い罵倒しました。
「こちらの人的コネクションがなければ、日本では何もできなかったはずなのに一言たりとも、お礼を言おうとはしない。それにあなたは日本企業に売りつけようとしていたが、彼らはすぐに承諾していなかった。あなたが考えている以上に洗練され、啓蒙されているからだ」
すると彼は、「ミスター・ヨネナガ、私はあなたが一体何を言っているのか分からない。私は世話してくれた人には全員、日本でお礼を言った。これ以上何が不服だというのだろうか?日本人が洗練され、啓蒙されているわけがない」
この返答をもらって私は愕然としました。もちろん、7歳から27歳までの約20年間をアメリカで生活していた時もある程度の差別を受けたことは何度もありましたが、彼の様なエリートに潜んでいた拭うことのできない人種差別というのを垣間見た気がしたのです。
自分はアメリカのエリートだ、という意味のない自尊心とビジネスの基本を無視しながら、対日ビジネスを行おうとする、その姿に怒りを通り越したのです。結局、彼らにとって日本とは野蛮人の国であり、植民地のようなものなのです。植民地人は少しおだてれば、尻尾を振ってついてくると、そう信じ込んでいるようです。
しかし、今や日本で資産バブルあ始まった以上、そうは問屋が卸しません。いかに馬鹿にされようと莫大なマネーを持ち、それを一振りすれば世界を震撼させることのできる日本人投資家がいるからです。そしてそれが目覚めた時、世界は変わることになります。
私たち日本人にとってお礼は当たり前のことになっています。そして、その人としての当たり前が通ってこなかったのが欧米主体の世界だったというわけです。どうやらこれから来年の春までは日本人投資家の仕事は多くなりそうです。
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