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トランプ大統領の暴露本「Fire and Fury(炎と怒り)」① 「著者に対する大きな違和感」|Atlasマンツーマン英会話

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トランプ大統領の暴露本「Fire and Fury(炎と怒り)」①
 「著者に対する大きな違和感」

先週、ジャーナリストのマイケル・ウォルフの暴露本「Fire and Fury(炎と怒り)」が発刊になりました。残念ながら日本語訳の出版には数ヵ月かかると思いますが、アマゾンならすぐに原本をダウンロードして読むことができます。

 

「Fire and Fury(炎と怒り)」の表紙画像

 

私も早速原本をダウンロードし、読んでいるところですが、印象としてはエンターテイメントとしては楽しんで読むことができるという程度の内容だと思いました。

 

この本の著者のマイケル・ウォルフは、これまでメディアの裏側を暴露したノンフィクションでよく知られたジャーナリストでした。今回のトランプ大統領の暴露本では、「トランプ政権の200人近い数の関係者にインタビューして書いた」、ということだそうですが、それが本当かどうかはわかりません。

 

ところで、この本で一番驚かされるのは、トランプも含めトランプ陣営の誰もトランプが大統領選で勝利するとは思っていなかったことです。トランプは大統領選挙の出馬で知名度をさらに高め、新しいネットワークテレビを立ち上げる計画だったと書いています。

 

また、娘のイバンカとクシュナー夫妻は、富裕な夫婦というだけのこれまでの低い知名度から、大統領選を背後支えた夫婦として有名になり、ビジネスに生かすことが目的だったとあります。そしてメラニア夫人は、大統領選の喧噪が終わると、いつもの何不自由ない静かで豊かな日常に戻ると思っていたと書いてあります。

 

また、安全保障担当補佐官に任命されたマイケル・フリンは、モスクワの講演でロシア側からもらった4万5000ドルの講演料が後に問題になるとの指摘された際、どうせトランプは負けるのだからそのようなことは問題にならないと返答していたと書いてあります。

 

このように多くの関係者がトランプの敗北を確信していたのは、関係者の誰もが集中力がなく、散漫で、物忘れがひどく、一貫性がなく、そして衝動的なだけのトランプは基本的にバカなので、大統領になるべきではないと思っていたからです。

 

しかし、2016年11月8日の大統領選でトランプは勝利し、その時のトランプはまるで幽霊でも見たかのように狼狽し、メラニア夫人は泣き崩れたとあります。そのようなトランプでしたが、しばらくすると気を取り直し、自分ほど大統領にふさわしい人物はいないと言い出したということです。

 

そのような中、唯一大統領選の勝利を想定し、具体的な政権構想を持っていたのは主席戦略官となったスティーブ・バノンでした。勝利後、バノンはFOXニュースの元CEOを含め、関係の近いごく少数の人々と集まり、トランプ政権の外交政策などを協議していました。

 

現在、本で暴露されたバノンのこうした発言はトランプを怒らせ、バノンからの謝罪も拒否する状況になっていますが、バノンは政権から離れた後もトランプを背後から支援する活動を行っていました。しかし、今回の暴露本でトランプとの関係が悪化し、すべての支援もストップしています。

 

さて、このような内容の暴露本ですが、読んでいて違和感を感じました。一つ目の違和感は、著者のウォルフは関係者からの綿密なインタビューを通したと言っていますが、それでもバノンや関係者のプライベートな発言が、その場にいたかのような臨場感で描かれていることです。話を面白くするための作り話のように感じます。

 

事実、著者のウォルフはメディア王ルパート・マードックを描いた暴露本でも同じように指摘されていました。ジャーナリストというよりも、作家としての側面が強い人物として知られているわけです。

 

そして二つ目の違和感は、トランプの描き方です。自分の行動をコントロールできない認知症初期の患者のような描き方になっていて、トランプはここまでバカなのかと、強く読者に印象づける作為的なものを感じてしまいます。

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