3月20日、アルゼンチンのブエノスアイレスにてG20財務大臣・中央銀行総裁会議が開催されました。森友学園問題で大揺れの日本政府は参加を自粛し、実質的にはG19となりました。
終わってみれば予想どおりの平板な内容で、トランプ政権の鉄鋼・アルミに対する追加関税措置の発表に象徴されるように、世界的な保護主義が台頭する中、G20は保護主義と闘っていくことを明らかにしただけでした。
目新しいテーマといえば、今回はじめて仮想通貨(暗号通貨)の取り扱いが議題になったことです。今回の会議ではG20として初めて仮想通貨について協議され、そこで行われた仮想通貨に関する議論で話された内容は以下の通りです。
① 仮想通貨は多くの問題があるものの、その背景にあるブロックチェーン技術は金融業界にイノベーションをもたらす新技術の一つであるということ。
② 現状では「仮想通貨(cryptocurrency)」ではなく「仮想資産(crypto asset)」と呼ぶべきということ。
③ 2018年7月までを目途に仮想資産の国際的な基準を準備するということ。
今回のG20会議を通じて、仮想通貨については「技術発展に期待しつつ、国際的に統一したルールを導入する」という方向性が明らかになりました。問題点として言及されている資金洗浄や投資家保護の他にも、「仮想資産(暗号資産)」との表現からは今後あまりにも投機的な動きは規制される可能性が高いものの、全面禁止となる可能性は低いと考えられます。
例えば、ブロックチェーン技術によるトークン発行を利用したICOについては、最終的に国際的なルールに則った形でより安定した環境の下で実現できるようになる見通しになりました。ただし、仮想資産についてはグローバル・ルールの重要な案件の一つとして今後も協議されていくことが決定的となったことから、議論の推移について今後も注意していく必要がありそうです。
仮想通貨(cryptocurrency)は新たな決済手段として大きく期待されている一方、資金洗浄や投資家保護の観点から世界的に問題となっています。一切の法的規制の根拠を持たない国もあれば、一部の国々では仮想通貨取引やICOの全面的な禁止等の措置が取られてきました。
今回のG20財務大臣・中央銀行総裁会合では各国仮想資産及びその背景にあるブロックチェーン技術についてその重要性に理解を示した上で、具体的な規制案の発表にまでは至らなかったものの将来的に国際的な規制を設ける方向で合意しました。
特に、日本は規制を設けた上で合法的に取引ができる仮想通貨先進国であることで広く知られています。今後も日本の取り組みは世界最先端の例として、今後規定される国際社会での基準にも大きく影響すると考えられます。
その日本で先日、ビットコイン・キャッシュ(BCH)に関する協議会が東京で開催され、「サトシ・ビジョン・カンファレンス」と題された協議会はBCHの開発者と支持者を主な参加者としていると報道がありました。
ビットコイン(BTC)が取引承認作業の遅延を常態化させているとの情報がある中、その解決法を巡り仮想通貨から分離したのがビットコイン・キャッシュ(BCH)でした。BTCはその解決策としてライトニング・ネットワークと呼ばれる第三者を介さずに迂回取引を可能にする技術の導入を進めているものの、未だに実証段階にあります。
ビットコイン・キャッシュ(BCH)が逆にビットコイン(BTC)を決済速度面で凌駕する可能性があり、ビットコイン(BTC)の凋落が起きるのかどうかに注目すべきです。
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