アメリカのビジネスパーソンは防御のために話題を変えたり、詮索したり、直接的な質問をしたり、約束をしたり、頑固な態度などを見せたりするなどの戦術を使うことがあります。相手を混乱させるために何度も話題を変えると反抗される可能性があります。
規則や条件を書面で持ち込むことは、効果的な戦術です。これが交渉の時間を短縮することに役立てば、ほとんどの場合、アメリカ側はこれを好意的に受け止めるからです。同様に、アメリカ側はすでに印刷された条項を持ち込もうとするかもしれません。
これらが会社の方針に基づいていて変更不可能でない限り、そういった試みは無視するべきです。全ての規則や条件を一つ一つ議論して合意すべきだと主張することを心掛けましょう。
汚職と賄賂はアメリカではあまり見られませんが、全く例がないわけではありません。法律的にも倫理的にも高価な品を贈ったり、賄賂と疑われるようなオファーをすることは絶対に避けるべきです。もし賄賂を提供されていると思ったら、状況を注意深く検討し、相手側の意図を誤解していないことを確かめてください。
アメリカの会社の階層レベルは会社によって様々ですが、古い伝統的な会社では多くの階層があります。一方、早いペースで進む産業では階層がなく、個人の自制と自立を重んじる会社が多く見られます。
しかし、どんな会社でも定められた方針とプロセスがある場合がほとんどで、意思決定に影響を与える可能性があります。ほとんどの場合、そうした規則は守られる傾向があります。
意思決定をするのは個人であり、グループや組織の他のメンバーと相談する場合もしない場合もあります。決定の前に合意に達することは必ずしも必要ではありません、マネージャーは自分と部下の行動の責任を取ることが期待されています。意思決定の権限は、部下に任され、それ以上の承認を必要としない場合もあります。
一般的に、取引の規模で組織のどのレべルと交渉する必要があるのかが決まります。交渉が終わると、意思決定に時間がかかることはほとんどありません。アメリカのビジネスパーソンは迅速にはっきりとした決断を下すことに慣れています。後で彼らの考えを変えることは難しいと思います。
意思決定の際、ビジネスパーソンは個々の状況を考えるより、普遍的な法則を用いることが多いですが、具体的な証拠や客観的な事実が個人的な知識や経験よりも重視されています。一般的に、アメリカ人はリスクを取ることが好きで、大胆な行動を取ることを恐れない傾向があります。
会議のまとめを作成して交換することは、相互理解とコミットメントを確認する効果的な方法です。多くのアメリカ人は自分の一貫性に誇りを持っていることで、充分に文書化してあればコミットメントを守ることができます。
中間協定を決定事項と考えてはいけませんが、コミットメントを守る気がないという印象を与えることは避けるべきです。なぜなら、双方がサインした契約書にしか拘束力がないからです。交渉担当者は、時々交渉のプロセスを文書化して双方のサインを求め、基本合意書か覚書とする特徴があります。
契約書ほどの拘束力はありませんが、これらの文書は場合によって法律的に有効です。文書化された契約書は長くて法律的に細かすぎる傾向があります。契約本体に関してだけではなく、数多くの不測の事態に関しても規則や条件が事細かに書かれています。
通常、契約書は、その定義する規則と条件に対する不可逆的なコミットメントを表し、双方の合意がある場合しか変えることはできません。
契約書にサインする前に、関連した経験が十分にある法律の専門家と必ず相談すべきですが、アメリカは世界で最も訴訟好きな社会です。産業と社会のあらゆる部分に特化した法律家がいます。法律顧問は交渉に出席して交渉プロセス全般に法律的なアドバイスを出してくれます。
ただし、法律の専門家を連れてくるつもりであることは事前に相手側に知らせなければいけません。その場合、相手も弁護士を連れてくる可能性が高いことを頭に入れておいてください。
契約書のほとんどは信用できるのもので、合意した規約や条件の厳格な遵守などが期待されます。契約書のサインした後に内容の変更を要求すると相手側から不誠実と見なされ、強い抵抗を招くことになります。
アメリカの会社は、紛争の解決を法廷で行うことを好む傾向があるので、非常に高くつく可能性があります。契約に定められた義務を忠実に果たすことを念頭において役務をこなすことです。
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