Who’s who at Davos Agenda Week 2021
(出典:2021年1月23日 WORLD ECONOMIC FORUM)
今年1月末に開催された「オンライン・ダボス会議」で、主導的な演説を行ったのは中国の習近平主席でした。そして、次に注目されたのがロシアのプーチン大統領であったわけです。
そして、その次にインドのモディ首相やドイツのメルケル首相、フランスのマクロン大統領、そして・EU(欧州連合)のフォン・デ・アライエン委員長が演説しました。その後、南アフリカのラマポーザ大統領、イスラエルのネタニヤフ首相、そして日本の菅首相の順に注目が集まりました。
韓国の文在寅大統領やシンガポールのリシェンロン首相、イタリアやスペイン、ギリシャといったEU諸国、そして中南米やアフリカ諸国と続きました。
これこそ国家指導者たちの世界的序列であり、その中でも最も西側諸国のディープステート(DS)に対抗する能力を持っているのが、ロシアのプーチン大統領です。そして、プーチン大統領は「グレートリセット」を進める世界支配層の計画を、言葉を選びなら的確に批判しています。
まず、新型コロナウイルスの感染拡大の影響でさらに経済格差が拡大して社会不安が広がり、多くの国が危機的な状況に追い込まれた事実を指摘しています。
ただし、こうした問題を引き起こしたのは感染拡大ではなく、米民主党と多国籍企業を中心に推進してきたグローバリゼーションである、とはっきり語っています。実際に、グローバル経済の不均衡は1980年代から始まっていました。
在日ロシア連邦大使館:プーチン大統領のダボス・アジェンダ 世界経済フォーラムでの講演
(出典:2021年1月27日 在日ロシア連邦大使館)
この政策について、プーチン大統領は「ワシントン・コンセンサス」と呼んでいますが、政府が規制緩和や金融緩和によって富裕層と大企業への減税を条件に国民の債務(借金)を増やし、経済成長を最優先した政策であるわけです。
また、現在の経済格差は「新自由主義者」たちによってグローバリゼーションが引き起こしたものであり、新型コロナウイルスの感染拡大はすでに存在している問題をさらに拡大しただけと主張しています。
さらに、プーチン大統領は、現在どの国でも危機的な状態にまでなっている経済格差の本当の原因は、世界各国に設けていた規制を徹底的に緩和させ、資本の移動と投資の自由を保証した新自由主義のルールにあると説明しています。
つまり、世界支配層が「世界政府」を樹立するために「ダボス会議」が推進してきた理念であることや、長い間グローバリゼーションを推進した欧米諸国の政治家や多国籍企業の責任をプーチン大統領は問い質したということです。
プーチン氏「団結を」 ダボス準備会合、孤立回避狙い
(出典:2021年1月28日 日本経済新聞)
そして、第4次産業革命の中心であるAIやIoTなどの高度なITテクノロジーは、ダボス会議が提唱するグレートリセットの中核になるコンセプトであり、国家が対策を講じない限り、多くの人々が職を失う可能性があることを指摘しています。
当然、失業する多くが中産階級の人たちであり、職を失った人々の高まる不満は社会的な危機に陥れるかもしれないと警告しています。もし失業者が無視されたり、隅に押し込められたりするかもしれません。
政治的・社会的にも分裂することになり深刻な結果を招く恐れがあるということです。なぜかと言えば、実際の問題に人々は不満を持っているからです。現実の問題は不満を呼び起こすのは明らかです。
米IT、各国政府と摩擦
(出典:2021年2月17日 日本経済新聞)
次に、第4次産業革命を主導している巨大IT企業のGAFA+MS(Google, Apple, Facebook, Amazon and Microsoft)を強く批判しています。アメリカのIT企業が社会生活の中で果たす役割が大きくなっているのは誰もが知っていると思います。
特に、アメリカ大統領選挙中にトランプ大統領のSNSアカウントが永久凍結されたことは、政府よりも権力を持っていることを意味しているわけです。GAFA+MSは、数十億人ものユーザーの個人情報を握っています。
プーチン大統領は、GAFA+MSの世界市場の独占を「監視資本主義の始まり」と警告しています。オンデマンドサービス、そしてビッグデータの統合は、明らかに1%が99%を支配する社会構造であると語っています。
このように、プーチン大統領は自分が何を言っているのか、誰もが理解していると考えています。だからこそ、世界中の人々は次の時代がどのような世界に変わるのか関心を持つ必要があるということです。
今回、プーチン大統領のスピーチに「グレートリセット」という言葉は一つも出てきませんでしたが、「ダボス会議」が推進してきたグローバリゼーションを「社会を分裂させる最大の要因」として批判し、巨大IT企業の企みを暗に伝えようとしたようにも思います。
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