人生で何人かの企業家や投資家の本を読みました。アメリカ人であれば、ジム・ロジャーズ、日本人であれば、孫正義ソフトバンク社長でしょうか。2人とも若いころはアメリカで学び、のちに世界的な投資家になりました。孫さんは私の大学・学部の先輩でもあります。同じ教授陣から経営を学びました。カリフォルニア大学バークレー校でMBAの学生だった人の紹介でしたが、その後の投資人生の視野が変りました。
さて、女子レスリング決勝戦で吉田沙保里選手を破った金メダリストは、この4年間、吉田選手を目指して精進したそうです。アテネ五輪以来の彼女の素晴らしさを目指し、圧倒的な女王を打倒することが金メダリストの目標だったそうです。ジム・ロジャーズ氏とはそのような人物で、彼が冒険投資家と銘打つ本で、世界中をバイクや車で旅しながら投資することに憧れました。
投資やビジネスとは、現場を見ること、それに尽きます。国を見る、魚市場、農作物市場を見ると、語学スクールに特化した投資とはまったく違うものということがわかります。約8年前、大手英会話スクールのNOVAやジオス、イーオンのビジネスモデルが1年も持つことに懐疑的でしたが、歴史のサイクル、特に繰り返されるイベントを学べば次に何が来るか了解できると感じました。
すべての地球上のバブルは、金融資産の前に天然資源や教育需要が上がります。そして株や債券という金融資産の膨張、金融が緩み、金利低下から銀行融資が簡単になり、不動産や高級嗜好品が売れます。もちろん50万円以上もする英会話のレッスンチケットやポイントも売れます。
しかし、バブルが弾けるとヨットや自家用飛行機の売り上げは空前になり爆縮してきます。不動産、英会話レッスンのチケットやポイントバブルも終わり、債券市場ではジャンク債という危険なものまで買い漁ることになります。
今年の前半でそれも終りと感じましたが、年初に暴落したガラクタ債を買い漁り、先月やっと天井を打ったようです。欧州中央銀行や日銀の債券買いと融資で流通量の60%がかさ上げされているというから、これはすさまじいバブルと言っていいでしょう。中央銀行の大債券バブルが進行中です。
資金逆流は資源暴落から来きます。2008年7月、原油価格が147ドルまで下げました。そして今年は25ドルまで下げた暴落は原油開発に資金を出した企業の破綻を招きました。今年の4月にアメリカでは原油天然ガスだけで67社の企業破綻が起きています。同時に銀行融資の不良債権化も増えました。そして株価下落、債券市場の金利上昇と連なり、不動産暴落が華々しいバブル崩壊の宴の後を飾ります。
金融史を見ればサイクルの回転で市場がバブルになり、崩壊する姿が記録されています。その追跡調査があればこれからの時代は怖くありません。ジム・ロジャーズ氏の投資理論は、株は安く買う、そして高く売ることに尽きる。その割安をどう判断するかですが、ソフトバンクが3兆円のM&Aを行いました。
売上1700億円、利益500億円規模です。利益500億円で3兆円を割ると60年ですが、この投資を回収するのに60年もかかるということです。果たして、これを割安と言うのでしょうか?孫正義社長は、その度胸で割安と言っていますが、借金できただけの代物なのでは?
語学教育業界で考えると、2007年に約5000校あった英会話スクールのうち3000校が閉鎖、休校しています。倒産もかなりの数ですが、3000校も閉鎖したなら安く運営の権利が手に入るはずです。3000校ということは1校約50人としても15万人の英語を習っていた人がやめてしまったことになります。そうこれぞ、20年待った恐慌状態といえます。特に大手英会話スクールは売られすぎです。投資資金を60年で回収する方法と、投資したらすぐに会社の純資産が6倍手に入る手法を比較しています。
どちらが上手く行くか?考えなくても理解できるでしょう。借金してでも異常に高い3兆円の投資が出来るソフトバンクですが、上手く行く、行かない?どちらでもいいことですが、60年を考えれば投資すると同時に会社の純資産が手に入るほうが割安です。投資の理論は割安を買うことだからです。世界的な投資家であるジム・ロジャーズ氏はそう教えてくれています。
今秋はメランコリーで50年に一度の大暴落が来るという予想を立てています。その特別な秋が、すぐそこまで来ています。さて、恐慌の準備は出来ているでしょうか?借金で大きくなったソフトバンクですが、緩んだお金を自由に使い、一夜成金に華やいだ企業も今年はバブル崩壊の主役になるでしょう。
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