Atlasマンツーマン英会話

日銀・黒田総裁がイールドカーブ・コントロール付き異次元緩和の真相|Atlasマンツーマン英会話

札幌、東京、横浜、名古屋、栄や金山エリア、大阪梅田エリアのマンツーマン英会話

Atlasの特徴レッスンコース・授業料一覧スクールを探す無料体験レッスン子供英会話Atlas KID'Sオンライン英会話

ホーム > 世界恐慌から始まる時代の転換期を迎えたAtlasマンツーマン英会話の新しい方向性

日銀・黒田総裁がイールドカーブ・コントロール付き異次元緩和の真相

海外メディアの間では、9月21日の日銀政策決定会合が「またしても奇抜な手段で、つかの間の金融市場回復を狙う姿勢」と軽蔑混じりの注目を浴びていました。

 

その注目の結論は、「これまでどおりの質量ともの異次元緩和に加えて、日本国債の中で短期債のマイナス金利を維持するとともに、10年債の上値メドを金利0%として長短国債間での金利スプレッドの拡大を目指す」というものでした。

 

「短期国債はもっとマイナス金利が広がってもいいのですが、10年ものなど長期国債の金利までマイナスになるのは異常だから、10年債の金利は0%まで押し上げ、その水準にとどまるようコントロールする」という政策でした。

 

これは、日銀があくまでも金融緩和を軸に景気回復を目指しているとすれば、なんとも珍妙な政策と言う他ありません。たとえて言えば、オリンピックで重量挙げの選手が試技に失敗するたびにバーベルを重くして、結局記録なしで予選落ちしたり、フィギュアスケート選手がショートプログラムで3回転に失敗したのに、フリーで3回転半に挑戦して、さらにスコアを落とすようなものです。

 

まず、日銀が金融業界から債券や株のETF、不動産投資信託(REIT)を買い上げて現金をばら撒くようになったのは、いつまで金利を下げつづけても景気が回復しないどころか、日銀としては景気回復の第一歩と考えていたインフレにもできなかったからです。この頃までは、日銀・黒田総裁の方針は表現に誇張が目立つだけで、内容的には金融政策そのものの限界をわきまえている白川前日銀総裁の政策を基本的に踏襲していました。

 

しかし、「量だけではなく、質もふくめた金融緩和、すなわち異次元緩和を実施する(黒田バズーカ)」と言い始めたころから黒田総裁は、しだいに金融の経済に果たすべき役割さえわかっていないからこそ、誇大表現の景気づけで景気回復は無理でも日本国民のあいだにインフレ期待を蔓延させることならできると思いこむようになったようです。

 

「一段と強化された異次元緩和」という触れ込みのマイナス金利付きの量的緩和にいたっては、「質(=金利)」と「量(=金融資産買い入れによる現金のばら撒き)」とで、明らかに政策ベクトルが違っているにもかかわらず、強引に双方とも金融緩和策だと言い張っていました。

 

なぜ、マイナス金利はそもそも政策ベクトルが違っているかと言えば、預金に金利を付与するのではなく、預金から保管手数料を取るようになれば、資金の持ち主としては「預金という保守的な手法での運用さえせずに、現金をそのまま持っていたほうが得だ」と思うからです。つまり、本気でインフレを起こしたいのなら、現金の流通速度をどんどん上げるような政策を取らなければいけないのに、マイナス金利は明らかに現金退蔵を奨励する政策なのです。

 

しかも、日銀は銀行が日銀の口座に置いておく金利をマイナスにするという政策で、とんでもない失態を演じました。「自行が銀行から預かる資金に付けていた0.1%の金利を、逆に0.1%の保管手数料を取ることにするだけなら、日本の市中金利の体系にそれほど大きな影響は及ぼさないだろう」と、自分たちの政策効果さえ分かっていないことを暴露するようなものです。しかし、どんなに割高な国債を買っても最後は日銀が喜んで引き取ってくれると思った金融業界は、短期から10年債までさまざまな償還年限の国債金利をいっせいにマイナスにしてしまいました。

 

そもそも世界各国の中央銀行は、自行に金融機関が預けた資金に対してどの程度の金利を支払うかを意味する政策金利を決定する権利を持っています。また、経済全体にどの程度の量のマネタリーベースを供給するかも、決めることができます。

 

しかし、異なる償還期限の国債同士の間の金利差をコントロールする能力はありません。もちろん、中央銀行自身が唯一の圧倒的な市場シェアを持つ独占的な買い手となって、償還年限ごとに自分たちの思惑どおりの金利体系になるように売買をくり返せば話は別です。しかし、財政ファイナンスをすれば、中央銀行の金融節度も、国債発行体である政府財務省の財政節度も完全に失われてしまうでしょう。

 

だからこそ、日銀が本気で今なお金融緩和を目指しているとしたら、市中金利のコントロールも、マネタリーベースより幅の広い定義であるマネーストックのコントロールも思いどおりにできなかったのに、はるかにハードルの高いイールドカーブのコントロールをしようというのは無茶です。今回の政策決定会合で、日銀理事たちが正気を保ったまま方針を一出していたとすれば、経済合理性のある解釈は一つしかありません。

 

それは、「今までこれだけ金融緩和を続けてきたのに、一向に景気は回復しない。それどころか、期限付きで達成すると確約したインフレさえ実現できていない。こんな無意味な政策をいつまで続けていてもラチがあかないので、表向きは金融緩和を続けると言いながら、こっそり金融引き締めに転換しよう」という退却への転換です。そう考えれば、年率2%というインフレ率の目標達成期限が2年以内から2年程度へ、そしてついには達成期限は無限の彼方へとどんどんくり延べられているのも、納得がいきます。

 

ただ、こうした解釈には大きな問題があります。それは、現在の日銀の総裁・副総裁・理事たちの間にたった一人でも、無謀な突撃から少しでも日本経済を良くするための退却への方針転換を提唱するほどの勇気と知的能力を持った人物がいるとは考えられないことです。

 

だとすれば、日銀はいったいなぜイールドカーブのコントロールなどという高いハードルに挑戦する気になったのでしょう。にわかには信じがたいのですが、マイナス金利の導入で銀行最大手の三菱東京UFJがプライマリーディーラー資格(国債を売買する)を返上するほど怒らせてしまった日本の金融業界への和解のゼスチャーだったのでしょう。

 

短期国債と長期国債の金利差が大きい信用市場というのは、一見したところ金融機関が儲けやすい環境と思えます。短期の低金利で借りるなり、預金を集めるなりしてつくった資金を、高金利の長期貸し付けに回せば、安定して大きな利ザヤが抜けるように見えるからです。実際に、イールドカーブが短期・長期金利の差が大きいときの株式市場では、条件反射的に金融株が上昇することが多いのです。

 

しかし、短期国債と長期国債の金利差が大きな信用市場は、ほんとうに金融機関にとって儲けやすい環境なのでしょうか。短期金利が延々と低水準のままでいると仮定すればの話ですが、金利は動くものです。動くからこそ、信用市場で時々刻々と特定の利回りを約束した商品が、高くなったり安くなったりしながら売買されているのです。

 

そして、低水準のはずの短期金利が急騰すると、短期で借りて長期で運用していた金融機関は苦境に追いこまれてしまいます。短期金利が急騰する局面で、長期で貸していた資金が期限前に償還してもらえるわけがない一方、借りていた短期資金のほうは高利での借り換えを迫られることになります。

 

だから、イールドカーブの短期・長期金利の差が大きいときは、過去に何度も金融危機の前兆になっています。日銀は今、その危険な政策を金融政策の中軸に据えようとしているのです。しかも、まっとうな思考能力を持った人間なら誰もが、たとえ短期とは言えマイナス金利などという異常な状態が長続きするはずはないとわかっている環境の中で、マイナスの短期金利を維持しながら、長期金利はゼロ近辺まで引き上げるというあまりにも不自然なイールドカーブの短期・長期金利の差を広げようとしているのです。

 

日本の金融業界は、イールドカーブ・コントロール付き異次元緩和」に対して、発表直後の条件反射的な歓迎さえしなかったのです。「安倍首相と日銀黒田、そして金融業界との蜜月が今回の政策決定会合で終わったというポイントは、認識不足でした。蜜月は去年の5月に東証銀行株指数が最高値を付けた後、3~4回の高値試しでもこの水準を抜けずに下降に転じたとき、終わっていました。今回の東証銀行株指数の低水準でのピーク打ちは、蜜月の終わりどころか金融業界が政府・日銀に三下り半を叩きつけたと考えるべきでしょう。

 Atlas CEO ピーター・ヨネナガが教える「倒産・休廃業(解散)を防ぐ英会話スクールの経営分析コラム」 Atlasマンツーマン英会話への転校をご希望の方に「大手英会話スクールのやめ方・中途解約方法」
生徒さんの声レッスン体験談
入会までの流れはこちら
無料体験申込はこちらから
ページのトップへ

Copyright Atlas Corp.All right reserved.