11月8日にアメリカ大統領選挙が行われ、ほぼ結果が出そろいましたが、日本時間の11月9日17時現在、トランプ勝利が確定しました。本コラムでは、トランプ勝利を予測していましたが、その通りになりました。
トランプはこれまで、政治家の経験が全くない事業家で、いきなりアメリカ大統領になるわけで、これは世界的に見ても前代未聞です。日本で言えば、ソフトバンクの孫さんのような事業家がいきなり総理大臣になったようなものです。来年、いよいよトランプ大統領が実現することになるのは、まさにあり得ないような奇跡が起きたのに等しいと言えます。これはアメリカの一般的な白人層による一種の革命なのかもしれません。
さて、日本人で、今回のトランプ勝利をまったく読めなかった人は、日本のマスコミに完全にだまされていたということになると思うのです。日本を乗っ取るアメリカ議会とは関係のない勢力は共和党を根城にしていると同時に、ヒラリーのようなエージェントを民主党にも潜り込ませています。
ヒラリーの対抗馬であったトランプは共和党指名候補なので、本来トランプもその勢力の傀儡だったはずですが、彼はそうではなかったようです。その理由に、ブッシュやロムニーなど共和党の大物は、最後までトランプを支持しませんでした。こんな共和党候補はこれまでいなかったと思われます。
今の日本では、安倍政権も自民党も、日本政府の官僚もことごとく、その勢力の傀儡だと思われています。一方、トランプはその勢力とは一線を画しており傀儡ではありません。だからと言って、オバマのような欧米銀行屋の傀儡でもないようです。
アメリカのエスタブリッシュメント(寡頭勢力)は1%と言われますが、トランプは少なくとも、アメリカ寡頭勢力の傀儡ではないようなのです。にもかかわらず、彼が大統領本選まで残ったのは、彼自身が大富豪であり、アメリカ寡頭勢力からの献金に依存して選挙戦を戦う必要がなかったからでしょう。
その意味で、トランプ候補は米大統領選において、すべてが異例ずくめだったのです。 したがって、安倍自民も日本政府官僚も、トランプとのコネは全くないと考えられます。安倍内閣や自民党は今後、トランプとどのような外交を展開するつもりでしょうか。
今、安倍自民が必死で進めているTPPについてもトランプは本気で反対していますので、完全に肩透かしをくらった格好となっています。さらに、トランプは在外米軍の撤退を志向していますので、在日米軍の縮小撤退が早まるでしょう。そして、トランプは北朝鮮脅威にも終止符を打ちそうです。そうなれば、極東米軍は大幅縮小できるし、場合によっては撤退することになります。
トランプの最大の特徴は、彼がネオコンとは対立していない点です。ここは極めて重大なポイントです。したがって、来年トランプ政権が誕生すれば、イスラエルのためのシリア戦争は実行される可能性がありますが、トランプはプーチンともコネを持っているので、シリア問題に関してプーチンとどのように折り合うかは未知数です。
ところで、シリア・アサド政権と対立するイスラエル・ネオコンのボス・ネタニヤフ・イスラエル首相は、今年の4月に訪露してプーチンと会談し、プーチンとコネをつくっています。したがって、シリア問題がトランプ政権下にてどのように決着するかを予想するのは現段階では非常に困難な状況です。
いずれにしても、ネオコンと米軍事企業との狭間に立ってトランプがシリア問題にどのように取り組むのかは、現段階ではまったく不明ですが、極東米軍は縮小・撤退の方向となりそうです。
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