先日、アメリカのムニューチン財務長官が、通貨のさらなる監視を国際通貨基金(IMF)に要請しました。その意味は明らかです。米ドルを強くするということですが、金利高も容認するということを暗に示唆しています。そうすると、まず日本円はどうなるのでしょうか?反射的効果でどのように動くのかが注目されています。
今、この点についての思考が求められていますが、同時にそれ以外の通貨についても変動が起きてきそうです。結果として何が動くことになに、波及効果はどこまで及ぶのでしょうか?いよいよ日本の資産バブル第2弾が始まる気配を感じます。
2017年は米ドルと不動産の下落が連動しており、どちらかというと不動産のほうが深刻な問題になっています。それは、トランプ大統領の就任に伴う楽観的なムードが終わる春以降、金利が急上昇する可能性が示唆されているからです。下手をすると9%近くまで金利が上昇するという予想もあるほどです。
この背景の一つとなるのが、地方銀行の収益が悪化し、一斉に貸し渋りと貸し剥がしを行うことです。銀行は自己資金が枯渇するので現金を必要とします。そのため、現金の流出を防ぐ必要から貸出し金利を上昇させる可能性があります。これが9%まで金利が跳ね上がるという予想の理由なのでしょう。
この影響をもっとも顕著に受けるのが不動産市場ですが、銀行の貸し渋りからローンが供給されないので、住宅がまったく売れず、価格崩壊することになります。これはアメリカのみならず、米ドルを使っているカナダとオーストラリアでも起きますが、日本では違う状況が起きそうです。
さて、春以降に金利が急上昇するということは、つまり米国債が暴落するということです。私が気になるのは米国債の大量償還です。債券は、満期日には債券の保有者に額面金額を払い戻さなければなりません。この満期日のことを償還日、払い戻すことを償還といいます。国債とは当たり前ですが政府が借金する際に発行する借用書です。
10年物の国債を買ったら10年後に政府が利子をつけて返してくれます。要するに、あなたが借用証書を銀行や証券会社に持って行けば利子をつけてお金を返してくれるというものです。それを償還といい、その返さなければいけない期日のことを償還期限と言います。
当然のことですが、遅かれ早かれ借金は返さなければいけない期日が来ます。そして、米国債の償還月は、2月、5月、8月、11月が大半です。四半期に一回借金返済をしているということですが、そのうち2月と8月に大量に償還期限が来るわけです。
特に、私が気になるのはアメリカのムニューチン財務長官が通貨の監視を国際通貨基金(IMF)に要請したことです。今後はさらに米ドルを強くしていくということで、金利高も容認するということを示唆しているのです。2月から米ドルが下がるというのは、2月の大量償還の影響なのではないでしょうか?
ご存知の通り、昨年夏頃から中国とサウジアラビアが猛烈に米国債を売却しています。特に、中国は資金流出が相次いだこともあり、外貨準備高の米国債を売り払ったので、米国債の保有残高を再び日本が最も保有していることになりました。そしてトランプ大統領の就任によりこれに拍車がかかり、債権暴落にyり金利が上昇しているのです。
2月に大量に償還期限が出た米国債ですが、償還すれば中国もサウジアラビアも当然ですが、もう二度と米国債など買うことはないでしょう。つまり、アメリカへは再投資をしないということです。
一方、日本では安部首相が2月10日に急遽訪米し、トランプ大統領との日米首脳会談が行われました。トランプ大統領とのゴルフ外交という報道がありましたが、この時に話されたことは中国やサウジアラビアが売却した分を日本が負担するよう要請されたのではないでしょうか?
マスコミの前では親しそうな両者でしたが、中国とサウジアラビアが売却した分は日本人が汗水たらして貯めた年金で米国債を買う約束をしてきたのでしょう。その額110兆円以上という報道もありました。とにかく、今の米国債を世界の誰も買おうとはしないのです。
要するに、日本が買い支えないと暴落することになりそうなのです。しかし、果たして中国やサウジアラビアが売却した分を日本だけで買い支えることが本当にできるのでしょうか?ここから猛烈に米ドルが下がるのではないでしょうか?
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