1990年代前半、バブル崩壊後にあったものは少子高齢化、つまり国内市場の縮小でした。これまでは求めるとすぐに得られたはずの仕事やマネーがもはや得にくくなったというわけです。その結果、少ない仕事やマネーを巡って隣人を叩きあい、罵りあうというのが日本では日常の光景になってしまいました。
日本のリーダーシップというのは、決してゼロから何かを創り出すものではなく、むしろすでにあるものをどのように劇場政治の中で演出しながら破壊し、少なくなる仕事やマネーを得ることができずにいる大衆の喝采を得るというのがパターンになっています。
一方、視聴率や売上部数だけを上げたいマスメディアは新しい否定的リーダーシップを持ち上げるだけ持ち上げ、それが流行らなくなるとさらにもっと激しい破壊を行う者たちを盛り上げるようになりました。
先の民主党政権は結局、否定的リーダーシップの典型でしかなかった上に、利権を得ることなく、民主党政権は人心を失うことになりました。これに代わって2012年に再び登場した安倍政権はある意味、創造的リーダーシップを志したものでした。
第1次安倍政権時代に対する深い反省から始まった第2次安倍政権で安倍首相は徹底したマスメディアへのコントロールを行い、まずは否定的リーダーシップを抑え込みました。最初は抵抗していたマスメディアでしたが、株価上昇という分かりやすい指標を掲げた安倍首相に対する支持率は上がっていきました。
結局、視聴率と売上部数という商業主義的な配慮から安倍政権に「忖度」し始め、真実を誰も言わなくなってしまったわけです。つまり、1980年代以降、日本のマスメディアは自民党清和会に対抗する否定的リーダーシップを育て過ぎたということです。その結果、本来なら磨かれるべき若い人材までもが枯渇し始め、日本では政治や経済の最前線で真のリーダーシップが存在しなくなってしまいました。
さて、日本だけではなく、国際社会とは本当は3つの構造から成り立っていることが分かります。一つ目は、テレビや新聞などのマスメディアが報道することで、誰もが日常生活の中で知っている表の世界です。たいていの人々はこのレベルの真相に満足し、それ以上を知ろうとはしません。
しかし、これだけでは決して満足しない人々がいます。二つ目は、そうした人々のために用意されているのが裏の世界、つまりインターネット上の世界です。そこでは論理と仮想敵が設定されており、善悪がはっきりとした対立軸(反・正・合)構造の中で多くの人々が満足してしまうことになります。
ただ、真相はこれら2つのレベルにはなく、三つ目の闇の世界にあります。これに到達する人は少なく、そこで見えるのは本当の意味での全体像であって、表や裏で語られている2つの対立軸に陥ることなく、人為的に創られた構造であることが理解できるレベルにいます。
例えば、日本では「ネットは規制されている」と言いながら、日々、ネット上で新しいサービスが次々と生まれ、放置状態になっています。寝る直前までスマホを見ている人々がいますが、問題はそうした情報が最初から捏造であり、嘘であるということです。
自公与党は長い間、国家ぐるみで嘘の情報をばら撒いてきたわけですが、多くの方が情報ソースを評価するより、自分の自説を補強するためのソースを血眼になって探しているだけになっているのが現実です。それが陰謀の拡大再生産に繋がっていくということになるというわけです。
このような現象は欧米人には珍しいことですが、特に過去一度も自由な言論を経験したことがない日本人の多くは、大量に与えられる情報の中から必要な要素を自由に選び取ることができると思い込んでいるところがあり、あらゆるバイアスから解き放たれて本当の情報に到達したと錯覚していることが多く見受けられます。
そもそも世界を動かしているのは、それぞれの国の政治と官僚制度ではないことさえ知らないわけですから、これはもはや日本の特徴になっているわけです。その証拠に、私たちは日々、テレビなどで政治家と官僚たち俳優による三流の芝居を強制的に見せつけられています。そして、その芝居を観るために税金を支払っているわけなのです。
さて、国際社会というのは3つの構造から成り立っていることで、表の世界がテレビや新聞であるならば、裏の世界はインターネット上のサーフェス(表面)・ウェブということになりそうです。そして、闇の世界はディープ(深層)・ウェブと言えるかもしれません。さらにはダーク・ウェブというものもあるようです。
まず、裏の世界であるサーフェス・ウェブは、GoogleやYahoo、そしてFaceboookで検索すれば誰でも自由にアクセスできるコンテンツが収められている仮想空間であって、Redditや2ちゃんねるなどの掲示板もここに属しています。
ここにあるコンテンツは、Googleやfacebookを発明した国際資本がメディアとして大衆に閲覧させています。しかし、大量にある中で情報のソースを評価できない人々が嘘の情報に熱中しているだけでしかありません。つまり、都合のよい人間を大量生産するために無料解放されている領域ということになります。
一方、闇の世界であるディープ・ウェブの領域ではGoogleやYahoo検索をかけても欲しい情報がヒットすることはありません。特定のグループに所属している関係者だけが閲覧できるコンテンツが大量に格納されています。
ここに入るためにはパスワードや個人に割り当てられたアクセスキーの入力が必要であり、アクセスを許された者しか閲覧することができません。森友・加計学園の関する忖度文書や防衛省の公式文書なども閲覧することができるはずです。
だから、本当の事実を知っているのはこの闇の世界の領域にアクセスを許された限られた人たちだけであるということになります。例えば、金融市場などでどの株や通貨がこれから上昇し、バブル経済がいつ崩壊するのかも知ることができるかもしれません。
元CIAのスノーデンはそうした人々のうちで最も有名ですが、ウィキリークスのハッカーなどもこの領域に簡単に入ることができるというわけです。実際に、今の世界は核戦争からサイバー戦争の時代に入っています。サイバー攻撃が仕掛けられると、あらゆる秩序が崩壊し、戦争を引き起こされてしまうかもしれません。
インターネットの世界では、このように現実世界と同様に表と裏、そして闇の世界からなる多層階によって形成されているというわけです。
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