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リオ・オリンピック前に五輪後不況が来てしまったブラジル①

南米では史上初めての開催となるリオデジャネイロ・オリンピックの開幕を控えて、またしてもブラジルは史上最悪の五輪後不況に苦しむのではないかということが話題になっています。こういう話はいつの世でも注目を浴びますが、最近、オリンピック・ホスト国のその後の経済不振は、自国の国家債務の計算をごまかしてユーロ圏にもぐりこんだものの、2000年代半ば以降経済が低迷を続けているギリシャが、2004年のアテネ・オリンピックのホスト国だったという理由も大きいようです。

 

2004年のアテネ・オリンピックからたった10年でアテネとその近郊にあるオリンピック用施設がいかに惨憺たる状態になっているようです。グーグルで画像を見ていくと直後に更地にでもしておかなければ荒れ果てるのが当然という施設ばかりだと気づきます。

 

跳び込み競技の主会場、カヌー・カヤック競技場、選手村の練習用プール、野球場やビーチバレー会場といった施設の荒廃ぶりがひどく、どれも練習用にこれほど立派な施設があってももてあますとか、世界中の競技人口が少なく、ましてやオリンピック後のギリシャでは見向きもされないことはわかっていたはずの競技用施設を無理して造ってしまったものの、取り壊すカネもないので荒れ果てるに任せているのだろうと思えるものばかりです。

 

ギリシャはたしかに2004年をピークにその後経済停滞が顕在化していました。ホスト国の開催前7年と開催後5年のGDP成長率で、下段はその成長率が世界平均と比べてどれくらい高かったか、低かったか見ていると、2004年にアテネ・オリンピックを開催したギリシャのGDP成長率、2003年のGDP成長率が5.9%と世界平均より3.2パーセンテージポイントも高かったが、開催1年後の2005年には2.3%と、世界平均より1.2パーセンテージポイントも低くなっていました。翌2006年にちょっと盛り返しがあり、2007年以降は、一貫して世界平均を下回るパフォーマンスにとどまっています。

 

これはオリンピック・ホスト国の呪いというより、はるかに経済合理性の高い理由が存在しています。1999年に計算上の仮想通貨として導入され、2002年から実際に流通していたユーロは、現在では考えられないほどの誇大な期待をもって金融市場に迎えられました。

 

その結果、明らかに経済三流国であるギリシャが、ドイツやオランダ並みの低利で国債を発行し、付け焼刃の繁栄に浴していたのが2003~04年でした。その後、通貨統合をしただけでは共通通関県内の各国の経済力が平準化するわけではないという当然の事実が、ギリシャのみならず、イタリア、スペイン、ポルトガル、フランスにいたるユーロ圏内経済弱国のGDP成長率を引きずり下ろしていったのです。

 

「五輪後不況」という表現の元の意味は、経済成長が順調に進んでいた国がオリンピック開催に向けて頑張りすぎて、オリンピックが終わった直後には一息入れるが、また順調な成長経路に戻るということでした。その典型が、今にして考えれば何もかもうまく行った東京で最初に開催された1964年のオリンピックでした。

 

東京オリンピックの開催7年換えから5年後のGDP成長率実績を見ると、開催当年まで順調に世界平均を大きく上回るGDP成長率を確保してきた日本が、開催後1年目だけ、5.1%成長と、世界平均より0.5パーセント低い実績に落ちます。

 

しかし、開催後2年目からは、開催前以上に大きな差をつけて世界経済成長の牽引役を務め続けました。「オリンピックを開催したという事実以外には説明のしようがない突然の成長率低下と、そこからの急回復」、これが本来の五輪後不況です。

 

1988年ソウル・オリンピックのホスト国だった韓国のGDP成長経路も日本と似ています。ところが、ギリシャや中国の場合はまったく違います。ギリシャはすでに説明したとおり、オリンピック開催3年後の2007年以来、ユーロ圏のお荷物だったことが歴然とするGDP成長率しか記録できていません。

 

中国の北京オリンピック開催前後計13年間のGDP成長経路は、一見、ギリシャとは比べものにならないほど立派だった印象があります。開催後1年目の2009年は国際金融危機のどん底に当たり、世界全体のGDP成長率がマイナスという異常事態になっていました。

 

その中で、中国は9.2%の実質GDP成長率を確保し、世界平均との格差も11.4パーセンテージポイントと13年間で最大になっていました。だしかし、開催後2年目以降の成長率格差はつねに5~6パーセンテージポイント台にとどまり、明らかに傾向的な成長率鈍化を示しています。

 

こういうオリンピック開催後数年間続けて成長率が開催前より低くなるのは、「五輪後不況」というよりはオリンピック開催までなんとか維持していた成長率が無理なものだったため、開催後傾向的に成長率鈍化が続いたということでしょう。

 

さて、ブラジル経済の直近のパフォーマンスはどうかというと、「五輪後不況が開催前にやってきてしまった」という表現が決して誇張ではないことがわかります。オリンピック開催1年前の2015年ですでに、3%台のマイナス成長に落ちこんでいます。

 

まだ実績見込みの段階なので世界銀行のマイナス3.8%、IMFなどのマイナス3.7%と数字に細かいばらつきはありますが、戦時でもなく、巨大自然災害に襲われたわけでもない国のGDPが3%以上落ちこむというのは、めったにあることではありません。

 

オリンピックに向けての頑張りはメンタリティを考えてもありそうもないし、具体的な統計データともそぐわないようです。ブラジルの実質GDP成長率は、オリンピック開催6年前の2010年に7.5%で世界平均より3.5パーセンテージポイントも高かった以外は、ほぼ一貫して低かったのです。

 

そもそもブラジルが高成長経済であるかのような幻想を抱く人が増えたのは、だれにでも手に入る経済統計をきちんと検討した上でのことではありません。「我々の推奨どおりに資金を動かすような愚鈍な投資家は、騙されて当然だ」とうそぶくゴールドマン・サックスが中国、ロシア、インド、南アフリカを一緒にしてブラジルをBRICSの一角として積極的に売りこみ始めるまでは、ブラジルは慢性的に巨大な対外債務、高インフレ率、高金利にあえぎ、いつハイパーインフレに襲われても不思議のない、投資家には危険な国という定評がありました。

 

こんな国が高成長を維持するという推奨の根拠は、中国の資源浪費バブルが永遠に膨らみつづけるということ以外にはあり得ません。つまり、ゴールドマン・サックスは彼らなりに正しく、首尾一貫性のあることを言っていたのです。

 

もし中国が、永遠に投下資金を回収もできないような投資頼りの高いGDP成長を維持できたなら、世界有数の資源国であるブラジルもまた、その恩恵に浴しつづけて、高成長経済となっていたかもしれません。しかし、投資偏重の高度成長が続くというのは、「実際に永久機関をつくることができる」というのと同じように愚劣で実現するはずのない妄想でしかありません。そのBRICS推奨論にのせられて巨額の損失をこうむった機関投資家は、自業自得としか言いようがないでしょう。

 

とは言うものの、これほどひどい国民経済に「もっと資金を投下しろ」と推奨しつづけてきたゴールドマン・サックスという投資銀行のツラの皮の厚さにも感心せざるを得ないからです。

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