人には虚栄心というものがあります。マズローの欲求5段階説でも、「誰かに認められたい」という承認欲求は生まれながらのものだとしています。「衣食足りて礼節を知る」というのが日本の伝統だったはずが、逆に衣食足りて、他人を押しのけるというのがこの失われた30年のトレンドになっていました。
この失われた30年の中で残ったものは、少子高齢化による国内マーケットの縮小です。つまりこれまでは求めるとすぐに得られたはずのパイが得にくくなったということです。その結果、少ないパイを巡って隣人を叩きあい、罵り合い、何となれば潰す、というのが日常光景になりました。
日本の政治リーダーは何かをゼロから創り出すものではなく、すでにあるものをどうやって劇場政治の中で見せしめに破壊し、少なくなるパイを得ることが出来ない大衆の喝采を得るというのがパターンになっています。視聴率や売上部数を上げたいマスメディアはそうした無能なリーダーシップを盛んに持ち上げ、それが流行らなくなるとさらにもっと激しい破壊を行う者たちを盛り上げています。
グローバル・マクロとそれを取り巻く国内外情勢についても同じで、表の世界とは国内外の金融機関で活躍する経済アナリストたちが日々語る世界のことです。あるいは売れている経済評論家たちの世界でもあります。そして裏の世界であるインターネットの世界へと入り込み、ついには真相に至るのです。
その真相とは、「世界は国際金融資本によって牛耳られているため、意のままに操る彼らは根っからの悪であり、大勢の人々の不幸から巨万の富を築き上げてきた」というものです。多少なりとも知的な読者はこのレべルで満足するため、こうした議論を延々と書き続ける経済アナリストが後を絶ちません。
こうしたマスメディアとインターネットの世界では露呈しがちな株式への出資という形で企業、そして経済を牛耳ろうとしているというストーリーが語られがちですが、実のところ経済の実態を織り成しているのは融資の世界であり、つまり第三者にはそれとして見えない債権債務関係なのです。
債務の世界で全てはつながり、大元から創造されているということを私たちは全く知りません。人々は、自然体の世界とも呼べるこの世界のことを決して表向き語ろうとはせず、ひたすらマスメディアとインターネットの世界を静かに構築し続けるのです。境地にまで至ったことのある自然体の世界の人々たちだけが本当の全体像を体得しているように思うのです。
それではこうした地位にまでどのようにすれば選ばれるのかというと、徹底して全てを自然循環として捉え、人間社会という意味での世間も含め、ネガティブなものと考えることです。つまり、それらとの関係において徹底してネガティブという概念を持つことです。
私がアメリカに20年ほど暮らし、様々な人種間で世界で見聞きし、日本でも20年ほどの生活の中で見聞を広めてきた限りで言うなら、世界をネガティブという基本で統治しているのはこのレべルの人々なのです。そして2020年までには世界が変わると方々で言われていることの本質は、このレべルの人々から見た場合、余りにも違う現実をマスメディアとインターネットの世界の人々が思い過ぎてしまったため、これを正さなければいけないと考えていることです。
そしてその時、この世のネガティブを知り尽くした人々が重要視しているものは債務なのです。債務を通じて世界を根底から覆すことにより、マスメディアとインターネットの世界に暮らす人類社会としては多数派である者たちに反省を促すのです。つまり、これから起きることは実にその程度の大規模のものになります。
自然循環の世界のネガティブ原理の伝達は全て口伝によって行われています。紙になど残すことはなく、この世にマスメディアとインターネットの世界がはびこっていて、地球全体を覆っているかのように見えても、自然体の世界まで登ってくる者たちがいます。自然体の世界に辿りつくにはそれしか方法がないのである。
そして自然体の世界ですべてを究めた人々はそのようにして這い上がってきた者たちに試練を与え、暗にマスメディアとインターネットの世界へと戻るように仕向けるのです。それでも自然体の世界を究めたい者たちだけに門は静かに開かれ、そこには少数しか知らない世界が広がっているのです。
今現在、トランプ政権による新たな危機とは、つまり欧米の統治エリートたちが衰退し始めているということです。しかし、絶滅の危機になりそうだからこそ、欧米人だけではなく、アジアの雄である日本人の中から今度はこの階層が続々と湧き出て来るのではないかと感じています。人類社会とはバランスよく成り立っているのです。私自身もより一層究めなければならないと思うのです。
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